無限に広がる大宇宙。その片隅にある銀河系。

…のそのまた片隅の太陽系のまた片隅の、青い地球のまたまた片隅。

…ここは兎潟(うさがた)県土井中(どいなか)市。

ローカル私鉄がゴトゴト走り、観光シーズンに温泉客でにぎわっている以外は、

何の変哲もないのどかな田舎町なのだ。

 

そんな町に暮らす高校生、高円寺スグル。

彼は三度のメシよりガンプラが好きな、どこにでもいる?学生なのだ。

そして彼は今日もガンプラを買いに模型屋に走っていた…。

 

スグル「…急げ急げ!今日は『マスターグレード・ガンダムX』の発売日なんだ!

これを逃せばみんなに乗り遅れちまう!急げェッ!!」

スグルは必死だった。一度目に付けたガンプラはなんとしても真っ先に手に入れたいという執念ぶりであった。

そう、「買うと決めたら命懸け」。まさに彼の心はその一点を見つめているといっても過言ではなかった。

 

数時間後…。

店長「はい、君がほしがってたガンダムXだよ。完成したら僕にも見せてくれよ!」

スグル「ありがとう、マスター!よぉし、早速帰ってガンプラ作るぞォ!!」

そう言うなりスグルは家路についていた。

近くを走る土井中電鉄のガードをくぐり丘を登ればここが彼の家。

彼は現在、妹と二人暮らしである。

 

カズミ「おかえりお兄ちゃん!…って、またガンプラ買ってきたの?」

スグル「流行に乗り遅れたくないしな。最近のガンプラってのはクオリティが高いんだよ」

カズミ「別に構わないけど、ちゃんと窓を開けて換気するんだよ?シンナー中毒で倒れても知らないゾ☆」

スグル「お、大きなお世話だい!大丈夫だって!」

いやはや、カズミはしっかり者である。管理人も見習いたいくらいだ。

 

スグル「さて…と」

スグルは待ってましたといわんばかりに買ったばかりのガンプラの箱を開けようとした。

その時だった。

彼に悲劇が訪れたのは…。

 

かっ飛び!ピョン丸くん

〜第1話:呼ばれて飛び出て、オイラピョン丸!〜

 

スグル「どわぁぁぁぁぁぁっ!?」

カズミ「な、何!?どうしたのお兄ちゃん!!」

 

カズミが慌ててドアをあけると、そこには凄まじい光景が広がっていた。

 

割れた窓ガラス。

頭から血を流して倒れている兄。

そして何故か無事だったガンプラに…

煙の中に動くものがひとつ。

 

一体何なのか状況が理解できなかったスグルとカズミであった…。

スグル「全く何なんだよ、いきなり人の家に襲撃なんて…孔明の罠か!?」

カズミ「お…お兄ちゃん、あれは…」

スグル「なんだ…?」

 

???「イテテテ…着地に失敗しちまっタイ!」

スグル・カズミ「しゃべった!?」

煙は徐々に晴れていき、部屋に激突した物体が動き出す。

そしてあらわになっていくその姿。

長い耳。

赤い目。

白いボディ。

動物のようでもあり、しかしよくみると胸にはカラフルに点灯しているランプ類が見えた。

スグル「ろ…ロボット!?」

???「…ん?誰だオマエラ?」

スグル「なっ…オマエこそ誰だよ!いきなり人の部屋に突っ込んできて…ケガしたらどーすんだ!!」

カズミ「いや…もうしてるじゃん…」

???「あぁ?オイラは汎用アニマロイドRT-201S…『ピョン丸』ってンダ。

ところでココはどこダ?」

スグル「ここはオレん家!オレは高円寺スグルだ!」

カズミ「で、あたしが高円寺カズミ」

スグル「で、何しに来たんだよ!?オマエは!?」

ピョン丸「実はオイラ、『麻臼(まうす)市』ってとこから旅行に来てたンダ。

で、ジェットすっ飛ばしてきたんだケド、どうもオイラ自身出来たての試作品なモンだから、

パワーの調整が上手く行かなくてサ」

スグル「……激突したってわけか」

スグルは青筋を立てて怒っていた。

スグル「……とにかく!家をぶっ壊した責任は取ってもらうぞ!」

ピョン丸「ちょっとタンマ!」

スグル「んだよ!?」

ピョン丸「…腹減ったから何か食べるモノを…」

スグル「ったくしょーがねーな。オレが作ってやるから待っとけ」

カズミ「あたしも手伝うよ!」

 

台所にて…。

スグルが料理を作っている。

スグルは幼い頃から料理を作るのが得意で、

周囲の友達からは「料理の大将」と呼ばれていたほどの実力を持っているのだ。

スグル「それにしても何なんだ、アイツ。もう3ミリずれてたらガンプラ壊れてたぞ」

カズミ「…やっぱりガンプラが心配なんだね…。でもさ、あのピョン丸くんってのも悪気はなかったわけでしょ?」

スグル「まぁな。ただ人の家を壊したのは事実だしなァ」

 

スグル「ほれ、出来たぞ。オレの手作りジャンボサイズオムライスだ!」

ピョン丸「うおぉぉーーーー!!こ、これは…!」

スグル「?」

カズミ「ど、どうしたのピョン丸くん?」

 

ピョン丸はオムライスが大好きだった。

ロボットのくせに、それもウサギ型のくせにオムライスが大好きだった。

そして彼は…ゆうに5人分はあろうかというオムライスを…

僅か30秒で完食した。

スグル・カズミ「は…早ッ!」

 

昼食の後、ピョン丸は壊れた部屋を修理していた。

スグル「ところで麻臼市ってどんなところなんだ?」

ピョン丸「ここから土井中電車に乗って終点の白根まで行くダロ。

そこでNR線に乗り換えて5駅ぐらいカナ。…ま、オイラの場合はジェットがあるから大丈夫なんだケドナ。

麻臼市は工業地帯で、周りはほとんど工場ばかりサ。だからオイラ、こういう温泉とかある場所に来てみたくなったンダ」

カズミ「へぇ〜へぇ〜へぇ〜」

スグル「ご覧下さい、満へぇです!

…まぁ来ちまったモンはしょうがない。俺の家で暮らしてみないか?」

ピョン丸「え?…でもオイラ、オマエの部屋壊しちゃったシ…」

スグル「大丈夫だって。ちゃんと修理してくれたんだし、悪気はなかったんだろ?

オレもそこまで冷たくないし、な」

ピョン丸「スグル…オマエ…」

スグル「これからも一つ、よろしく頼むぜ。ピョン丸!」

カズミ「よろしくね、ピョン丸くん!あたしたち、友達だよ☆」

ピョン丸「…うん、ヨロシク!!」

 

こうして、2人と1体。

奇妙な生活が始まったのである。


…というわけで始まりました第1話。

話の展開がありがちなパターンにナッティマッター!!

まぁ、これからピョン丸君は「土井中市」を舞台に、

ドタバタな毎日を繰り広げていくことでしょう。

みなさん、どうか長い目で見てやってくださいませね。

 

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