2011年3月某日。ここ土井中にも幾度目かの春がやってきた。

うららかな陽気に誘われ、軽便鉄道の廃線跡を散策しているカズミ。

なにやらネタを探しにきたらしい。退屈で外へ出たがっていたピョン丸を連れて、かつて小さな電車が走っていった築堤の上を歩く…。

ピョン丸「おぉっ!タンポポ発見!」

カズミ「春だからね、あちこちで咲いてるんだよ」

ピョン丸「図鑑じゃ見たことあるケド、本物見るのは初めてダゼ!」

 

かっ飛び!ピョン丸くん

〜第15話:春よ、すぐそこにきた春よ〜

 

カズミたちは丁度、廃線跡を1往復して土井中温泉駅に戻るコースを歩いているところだった。

ピョン丸「ウ〜ン、久しぶりに散歩したら腹減ったゼ」

カズミ「春は美味しいものがたくさんあるからね」

ピョン丸「…ン?アレはスグルと料理部のみんな…。オーイ!」

スグル「よぉ、お帰り!」

カズミ「ピョン丸くんがね、初めて本物のタンポポ見たんだって」

タイチ「あぁ、確かにコイツまだ出来たてだからな…」

スグル「こいつがはじめてここに来たのって7月の初めだからな…」

シンジ「どぉだピョン丸。春は見つかったか?」

ピョン丸「そうだナ…そんなことより腹減っタ!春は美味しいものがたくさん食えるゼ!!」

タイチ「…なぁスグル、ちょっと聞いてもいいか…?」

スグル「ま、俺も丁度ガンプラの新製品を買って帰るとこだ。そろそろ昼飯時だろ」

シンジ「実は俺たちも草を採ってきたんだぜ」

カズミ「えーと、タンポポに菜の花、それから筍に…これは?」

ナナセ「これはクレソンね。このあたりはクレソンも採れるんだよ」

シンジ「でもこの食材…大量に採ってきちゃって使い道がなぁ…」

タイチ「何だ、今から考えりゃいいじゃねーか」

スグル「とはいってもなぁ…学校の調理室を借りようにも今日は開校記念日で休みだろ」

ナナセ「なーんだ!それならいい場所があるじゃない!」

カズミ「いい場所?」

ナナセ「STEPがあるでしょ?」

スグル「まぁ無難っちゃ無難だな」

シンジ「ナツミさんがどういう反応するか楽しみだな…」

 

カレーの店『STEP』

カズミ「……」

スグル「……」

一同「なんじゃこりゃぁ!!」

スグル「人…多すぎじゃねぇか?」

タイチ「多いってレベルじゃねぇぞオイ!!」

ナツミ「あぁよかった、丁度いいところに…」

ナナセ「はいはーい、お手伝いですね!」

スグル「おし!総員戦闘配置!タイチとシンジもスタンバっておけ!!」

料理部一同「了解!」

 

ピョン丸「…なんで戦闘配置…?」

カズミ「多分『ガンダム』のブライトさんのマネだと思う…」

 

ナツミ「いやぁ、春の行楽シーズンが重なっちゃってさぁ…梅鉢山(うめばちやま)の登山客がもー来るわ来るわ」

カズミ「やけに混み合ってると思ったらそういうことだったのね…」

スグル「まぁこの時期どこもかしこもそんなもんさ」

ピョン丸「多いナァ…満席じゃネェカ」

ナツミ「自分でいうのもなんだけど狭い店だからね…ここ…」

ヒロミ「ちわー!ニシムラ商店でぇす!ご注文の牛肉お届けにあがりましたー!」

ナツミ「あー、はいはい!」

スグル「さぁて、本腰を入れるか!」

ピョン丸「アレ!?あの焼きそば屋のヒロミか!?」

ヒロミ「すっかり常連さんだね、ピョン丸くん!」

ピョン丸「イヤァ…」

タイチ「そうだ!さっき採ってきた食材があるんだ!」

ナツミ「タンポポにクレソン、筍に菜の花ねぇ…よし!じゃぁこれでサラダでも作る?」

スグル「そうだな、春野菜のサラダは美味いぞ」

ナナセ「じゃ、サラダ班は作業開始ね。ヒロミさん、ちょっと手伝ってもらっていいかな?」

ヒロミ「はーい!」

シンジ「さてカレー班も頑張りますか!」

ピョン丸「賑やかだナァ……ン!?」

カズミ「どうしたの?」

ピョン丸「この予感は……マサカ!?」

リュウ「やぁ、また会ったなピョン丸くん」

ピョン丸「出タァァァァァァァァ!!」

シンイチ「うーむ…すっかり嫌われてんな…」

トラ「ですね…」

…お前らのせいだ、お前らの。

スグル「何だお前ら、今度は何の用だ!」

リュウ「なぁに、ちょっとピョン丸くんに協力してもらおうと思ってな」

ピョン丸「解体ならお断りしマス…!(第13話参照)」

トラ「やだなぁ、今回は解体したりはしないから安心して」

ピョン丸「何でダ?素直に安心できないんだケド…」

 

リュウ「この回路を取り付けてデータを取るだけだ」

ピョン丸「なるほど、この回路でデータを…デェェェェェ!?」

シンイチ「おいおい、驚くほど嬉しいか?」

ピョン丸「冗談じゃないゼ!そんな怪しい回路取り付けられてたまるカ!!」

トラ「大丈夫大丈夫、痛くしないから☆」

ピョン丸「ちょっ…ヤメ…ヤメロッテ!ちょっと!!!」

技術部の連中がピョン丸に怪しい回路を取り付けようとしたその時だった。

ナツミ「人のイヤがる事をするなッ!!」

シンイチ「あぁー!リュウ―――――!!」

ピョン丸(た…助かっ…タァ……)

トラ「ぶ、部長!!」

リュウ「じょ…冗談だよ冗談…本気で取り付けるわけなかろう?ハハハ…」

ナツミ「冗談に聞こえないし笑って誤魔化したってダメ!」

リュウ「……ぐっ…」

ナツミ「さぁ!何か言うことあるでしょ!?」

トラ「ピョン丸くん…なんていうか…」

シンイチ「ああ、正直やりすぎた……」

リュウ「…スマン、今回は我々の負けだ…」

ピョン丸「…ウン…まぁ……いいケド……」

リュウ「……ところで…ナツミさんって重いのだな…」

その時、ナツミの怒りが爆発した!!

 

ナツミ「痛恨の一撃―――――――!!」

リュウ「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

スグル「……何言った、アイツ…」

カズミ「女の子の前であんなこと言うなんて…」

タイチ「まったく身の程って奴を知らんのか…」

結局春になってもいい事など何一つない技術部なのであった。

 

ナツミ「…仕方ないでしょ、ロボットなんだから…(怒)」


と、いうわけで第15話でした。

いやぁ、恐ろしいですね、怖いですねナツミさん。怒らせないように注意しなければ。

そうそう、ここだけの話なんですが、ナツミさんの体重は72.3kgでs…うわどこからはいってきたんですかやめてゆるs(ry

 

さてさて次回は、久々に新キャラクター登場の予感。

工事現場で事件が起こる…?

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