富士線　ふじせん

全線複線電化・1067mmゲージの高規格路線。

もともと富士市内の路面電車であった「富士電車軌道」と静岡市内で駿遠電気鉄道に対抗して建設された「駿河電気軌道」が、

千代田町(現在の駿河千代田)〜電鉄富士(現在の富士中央)間に直通電車を走らせるためにそれぞれの線路を延ばしていったものだが、

静岡側、とくに薩た峠付近で難工事を極め、落盤が起こっては休工することもしばしばであった。

両者の線路が通じたのは1926年で、漁師街の蒲原・由比付近の需要が大きく伸びたことで両者ともに業績を伸ばしていった。

戦時中に陸上交通事業調整法が発布されると、静岡県中央部を境に西側が駿遠鉄道、東側が東駿鉄道に統合され、

前者は駿遠急行、後者はそのまま東駿鉄道として歩んでいくこととなった。

面白いのは静岡市内〜清水市内で線路が並行しているにも拘らず東鉄が駿鉄とは独立を保った形で合併しているという点で、

いかなる政治的力学が働いたのだろう、「静岡の鉄道七不思議」のひとつとして度々語られている。

1964年に静岡側の路線を地下化・延長して起点駅がそれまでの駿河千代田から現在の呉服町へと変わり、

さらに1986年の市営地下鉄開業によって念願の静岡駅直結を果たしたのであった。

なお沼津方面への延伸は戦後の1949年に富士中央〜吉原本町間が開通、1953年には江尾までが開通した後1956年に全通している。

この当時沼津市街は都市化が進んでいたことから、沼津駅は地下構造となった。

営業キロ：56.9km　軌間：1067mm

駅数：69駅(起終点駅含む)

複線区間：全線　電化区間：全線(直流1500V)

閉塞方式：自動閉塞式

田子の浦への観光輸送を目的に敷設されたものだが、

戦時中には軍需輸送路線として国鉄から富士駅を経由しての貨物列車が大量に運行されていた。

1969年に動物園線が開業するまでは東鉄で一番短い路線であった。

現在は沿線の工場従業員や港湾関係者にとって、なくてはならない大切な足となっている。

1999年から折り返し列車においてワンマン運転が開始された。

営業キロ：3.7km　軌間：1067mm

駅数：6駅(起終点駅含む)

複線区間：全線　電化区間：全線(直流1500V)

この急速な住宅開発にあわせ、静岡市南部への路線が建設された。それが高松線である。

高松線は、1949年に設立された国立静岡大学への学生輸送も目的としており、

まず1950年に東鉄古庄〜静大前間が開通、その8年後に駿河高松までが全通した。「大学線」の別称を持つ。

営業キロ：5.9km　軌間：1067mm

駅数：8駅(起終点駅含む)

複線区間：全線　電化区間：全線(直流1500V)

1969年開園した静岡市立日本平動物園への輸送を目的に敷設された路線で、

東京都の京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)動物園線とも生い立ちは似ている。

当初は単線で駅も弥生町、日本平動物園の2駅だけだったが、

70年代後半から住宅開発が進み途中駅が次々と新設され、複線化も行なわれた。

2006年現在、平日は線内折り返しのワンマン電車が主だが、

土曜・休日には清水方面からの急行(ただし動物園線内は各駅停車)も運行される。

営業キロ：2.9km　軌間：1067mm

駅数：5駅(起終点駅含む)

複線区間：全線(1977年複線化)　電化区間：全線(直流1500V)

1949年、富士市近郊の製紙工場への貨物輸送を目的に敷設が行なわれた。

当初は富士線富士駅で貨物の受け渡しを行なう予定であったが、

富士駅の構内配線が煩雑になり用地を確保しなければならないのと、

東京方面からの乗換えを容易にすべく急遽建設された路線。

JR貨物から製紙工場への輸送列車が頻繁に乗り入れ、

2006年現在大手私鉄で貨物営業を行なっているのは東鉄をおいては東京〜北関東地区の東武のみである。

営業キロ：2.6km　軌間：1067mm

駅数：3駅(起終点駅含む)

複線区間：全線　電化区間：全線(直流1500V)